ノート(高柳昌行 集団投射 カダフィのテーマ)/木立 悟
 






耳の隣の滝と蝶
どちらもそのまま話しかける
星にも羽にも分かれることなく
午後の十年 二十年に笑む


つながりつながり つながらず
響きつづける爆発と
どこにも着かない惑星の線
ひとしずくの影に凍える生きもの


おまえがおまえを照らしている
(雪を洗う雨 雪を洗う雨)
つもることなく消えてゆく
(さらさらと在る さらさらと在る)


海のそばの空白
欠けては満たされ
音に立つ音
波に錆びる波


海が海へ来る どこからか来る
花を連れて来る 半分になる
水を焼き叫ぶ
けだものでいる


さえぎるものなく降りそそいでいる
到くはずのないものさえ到きつづける
傷と轍だけが
名前となる


鉄の櫛が鉄の刃が
午後の宙を裂きつづけ
ひと言も発せぬものの喉に
泪ばかりをかき集めている


軸なき地平に
己れの腕を軸として立て
砕け散りながらその音を
送りつづけ 送りつづける


















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