ノート(夜くぐる夜)/木立 悟
 






無音のたかまり
雨の明るさ
仮の明るさ


とりとめもなく
ふたつに増え
やがて無くなり
やがてひとつ増え


真横をすぎる
雨の遠さ
真上に至る
真上に昇る


土からあふれる
逆さの光
水を見下ろす
坂を見下ろす


明るさが止み
音がはじまる
ひとつひとつが
無言の明るさ


空の一部の何かが去り
跡に曇が流れ込む
地の灯は陽を追い
路の終わりへ打ち寄せる


羽に隠れ
くちびるに指あて
真上の水に
照らされる笑み


夜は静かに夜をたたみ
端から端へ 底から底へ
やわらかな牙を響かせてゆく






















   グループ"ノート"
   Point(4)