ノート(鳴陽)/
木立 悟
涙が乾く音より高く
まばたきの音は昇りゆく
午後が午後に
耳すます午後
月への道に
擬態する羽
水は満ちて
器を呑んで
ばらまかれて
途方にくれる
望みと秘名の
飛沫 飛沫
曲がり角も坂も
水に傾き
とどまる曇と
ととまらぬ曇の衝突を聴く
海の色が
押し寄せては煙る
数え切れない行方を数える
いつまでも 午後のままの午後
鐘を鳴らす腕が割れ
空洞から夕暮れがのぞきこむ
浜辺には今日も
道が落ちている
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