ノート(ひとり さめて)/木立 悟
 




野に影があり
樹と水と空と火の
長すぎる枠線を見つめている


奥にゆくほど太い負や
霧や霧でないつらなりや
まとわりついては月に削がれる羽たちや


道化の音が
背中に憑く
冬は冬をゆく
大陸をゆく


骨 羽 指 死
かがやくほうへそりかえる
かがやきを知らずに そりかえる


弦をたたき
力を曲げる
想い出に二度殺されるその前に


青空や偽言に
踏まれながら踏みながら
次に光になるものに
触れながら


背中にまわす手は消える
骨は緑の粉に埋もれる
胸のよごれをなぞる指から
羽は羽は羽はこぼれる


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