ノート(水地)/木立 悟
 




死んでしまった
気づくと
生きていた
今あるからだの半分は
どちらでもないものだった


雁と鴨が飛び立った
海は水紋と
穴に分かれた
曇の音が
止むことはなかった


網を溶かす陽
音は何処にいる
音は常にいる
降るかけら降るかけら
ひとつとして逃がさずに


油と水と筆と紙
物と物と物を燃やして
絵を描くものは描きつづけている
汽笛と瓦礫を浴びながら


あなたはあなたの午後と真昼を
あなたの夜に裁くなかれ
たれ流される日誌と自史を
けして詩だと思うなかれ


穴があり虹があり
高いところへ吹いてゆく
己を持
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