ノート(Unleft)/木立 悟
涼やかな頭皮だ
わたしには無口だ
いたるところに夜が来ても
朝の尻まで知るよしもない
哺乳類の腹
蒼と金
次の日へゆく
彩雲はゆく
午後の道と鈍
行方なき譜
撫でても撫でても
遠去かる水紋
枝が降り
街を抱き
そのまま十年 じっとしている
人はあちこちで 人ではなくなる
皺だらけの弧を
揺らしまたたき
くぐつ つづみ
塩と血の味の岩山を讃える
虹が立っては消える荒地から
穂は穂のままに轟いて
福音には失い聖邪の合唱
巡る素足 岩の回廊
虫の言葉を編んでも編んでも
糸の言葉を見失う
わたしをわたしに放る水鳥
人工のまばたきを語りつづける
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