メリーゴーラウンド/アンテ
に
わたしだけ良くなるなんて
間違ってる
今でもそう思うけど
それが
ようくんをどれだけ傷つけるか
今ならわかる
回転が遅くなって
音楽がやんで
馬が止まる
遊園地の明かりがいっせいに消える
メリーゴーラウンドの
真ん中の円柱の部分に
いつの間にかドアが出現していて
ようくんは馬からおりて
ノブをつかんだ
ドアの輪郭から光があふれる
ここで待っていて
ようくんは確かにそう言った
忘れたくない
ちゃんと謝らなくちゃいけないから
手を振る
ようくんが光に呑み込まれて
見えなくなって
ドアが閉まる
光が消えて
ドアの輪郭も消える
とても静かだ
馬にもたれかかって
目を閉じて
耳をすませる
いつか
ようくんと一緒に
遊園地へ行けるだろうか
そのときまで
わたしはわたしでいられるだろうか
連詩「メリーゴーラウンド」 10
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