フラグメンツ(リプライズ) #81〜90/大覚アキラ
 
ファンタジーだ



#83

 蜘蛛の糸だと思ったら
 おまえの臍の緒だった
 どうりでやたらと太いわけだ
 よじ登って
 見渡す限りの地平線
 臍の緒経由の交信
 幾度も交わしながら
 罪滅ぼしに
 臍の緒を上っていく
 おまえと
 もう一度出逢うために



#84

 灼熱、水玉、夜の虹、目隠し 
 して、銀色の糸を辿るナイロ
 ン製の蛞蝓みたいに、ゆっく
 りと、ゆっくりと。先触れに
 星が流れたら、小さな、小さ
 な声で、あの人の名前を呼び
 ましょう、誰にも聴こえない
 小さな声で。ラム酒、電柱、
 メンソール、肩越しの、タ
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