棒読みの歌/岡部淳太郎
 
の、おとが、おとなしいおと、が、
  き、こえる。わたしは、おそ、おそ、
  ろしい、ひろう。かいちんされたこ
  のつかれのなかで、ねむれなかった
  ばちがいのねむりを、わたしはね、
  むる。


夏の暑さがまっすぐに落下する。この苦しさ
の中で、不安とともにうたえ。この夏を歩き
回ってきた棒のような脚とともに、曲がるこ
との出来ない心でうたえ。ちょうどいい。季
節は夏。この夏を生贄にして、おまえこそが、
まっすぐに燃え盛る炎。棒のような思いを吐
き出して、ただうたうが良い。



(二〇〇五年七月)
   グループ"散文詩"
   Point(10)