『微笑む肖像』/ハァモニィベル
 

ただ、その美貌の肖像画は、
クロムウェルとホルバインの合作だったらしい
王室史上最高のインテリと言われ、スポーツも万能であったヘンリー8世は、
気性も荒く、トマス・モアを処刑して六回も結婚している人だ
それが実際に、やってきた実物のアンを眼にしたとき、
そのささやかな瞬間が、歴史を動かし
半年後、まったく肌に触れられぬまま、アンは「王の妹」となり、
やがてクロムウェルの首が
『ユートピア』を書いたトマス・モアと同じロンドン橋の上に
架けられることを意味した、としても、おかしくはない。


それにひきかえ、
奪った怪盗の心を奪ってしまい、けして離さなかった美女もいる。
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