羊たちのまどろみの宴/りゅうのあくび
 
羊も
そして九匹目の雌羊も十匹目の雌羊も
ぴょこりぴょこりと飛び越えてきました
柵を飛び越えてきた九十五匹の羊たちの中には
やんちゃな子羊も混ざっていて
子羊ではビールを飲める年齢ではないので
五匹目の雄羊が子羊の家へと一緒に連れ帰ってゆき
また戻ってきました

4.

月のない夜に
集まった百匹の羊たちは
春に刈り取られる羊毛が
人間たちが冬に着るダウンジャケットになる話や
いい羊毛がとれる子羊を
産み育てるために
雄羊と雌羊が勝手に結婚させられる話で
盛り上がっていました

5.

もう真夜中は過ぎて
羊たちは
ビールを飲みながら
黒くて暑い夜空の
輪郭を削るようにして
窓辺に浮かぶ雲の
小さな切れ端を
飲み込んでいて
まるで牧草のように
深夜の暗闇を食べていました
百匹の羊のお腹がふくれるころには
朝の陽が昇りはじめていて
夜空の星が消える頃には
百匹の羊たちはもういなくなっていました

   グループ"Breath of Fire Dragon"
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