過去/草野春心
 


  山道の草木を横切る
  ギンヤンマの蒼い複眼に
  私たちの過去が沈んでおり
  どうやら今も放熱を続けている
  遠く 手放してしまったものも
  未だ近く 触れられるものも
  一枚の壁に するどい鋲で
  丁寧に留められている



   グループ"短詩集"
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