東梅田駅8番出口/中原 那由多
 
し折れ曲がっていることを気にしていた


甘い匂いの先は洋菓子店
乾いた音の先はストリートミュージシャン

並木道は汗ばむ陽気をすりおろし
四車線の道路はいつまで経ってもやかましい
青春の無駄遣いだと言いたくなって
近頃は夢を見なくなったことに気付く

レールから解放された代わりに
鍵のようなものを落としてしまったのかもしれない


まばらな光はずっと遠くまで
ガラス越しに掴もうとしてすぐ止めた
ここには全てが揃っているだろうけど
欲しいものは特に思いつかない

ICOCAで再び改札を抜け
イヤホンと一緒に周りから孤立すると

夜は、途端に短くなっていった



   グループ"東淀川区から"
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