【批評祭遅刻作品】殺し、やわらかい雨の中で(山茶花オクリ讃1)/渡邉建志
した。半身を芋虫のように乗り出したムスカは
深呼吸することそれきり、動かなくなりました。
残響、
あっという間の。
ハミルは串でシーハーしました。
シートを後ろに倒しました。
眼前の世界はだんだんと水玉模様になりました。つまり、穴あきだらけの。
「今週も来週もおもしろそうな番組がひとつもないや」TVガイドをぱらぱらと捲
りながら、ハミルもいつか微睡へ落ち窪んでゆくのでした。
散文はどんどん詩文へ、息が絶えていくように。いまだムスカは「え、なに?」と言い、芋虫のようにやわらかい雨に包まれて死にます。そのあとの三行。
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