「おい、ハミル、おいったら」ムスカの声が聞こえたような気がしました。 「あん?」ハミルはぼんやりとボール塔を眺めています。隣の席を見遣ると、相変 わらずムスカはじいっとスピーカーに耳を傾けたままです。ハミルはボール塔のほ うに向き直して、それから口を開きました。 「ねえ、あのボール塔が廻りつづけるのって中のひとを誰も出口に通さないためっ て学校で習ったんだけどホントかな」 「え、なに?」 パシヴィテ。