未明、みえないまま/渡邉建志
って/君に言うから」っていう、胸を衝かれる一節があって、たぶん、夜だし、君は夜だということを知らない(ひょっとしたら本当に夜じゃないのかもしれない)、そしてたぶん、「君」のたぶんみみもとで「言」われる「夜は遠い」(あるいは「嘘みたいに夜は遠い」)のことだけを、「君」は信じるんだろうと思って。見えなくて。詩人の声しか、聞こえなくて、それだけが、たよりで。見えないことにこそ、希望がより眩しくあって。それが夜だから見えないのか、それとも見えない光に囲まれて眩しくて、見えないのか。手を引いて、私の目でいてくれて、頼り切っていたい、「もうすぐだから」というこの励ましは、理由はわからないけれど、とても近くにあ
[次のページ]
前 次 グループ"フレージストのための音楽"
編 削 Point(5)