そのヴラマンクが「画因(モチーヴ)」へ行く。(略)彼ら(引用者注:農夫たち)の中の幾人が投げる親しい「ボンジュール」の挨拶に、画家は立止って会話をする。しかし心の中で、彼はこういう風に労働しない自分をひそかに恥じる。自分の食う麦を自分で作らない己れを恥じる。都合のいい口実は幾らでもあるだろう。だがどんな言葉も自分にとっては結局すべて虚妄に過ぎない。事実は厳として眼前にある。そう思ってヴラマンクは立ち去る。むしろ心に苦痛を満たしてその場を逃れる。
同じような心の苦さを味
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