「モノポライズ」/長谷川智子
に留めてしまったことへのせめてもの抵抗として
4 花の、影 その後
私が愛でたその花は
すこし昔に枯れてしまったもの
散る花や、匂ひはすれど
その影を抱え佇む私が居る
たまにかれの名を電影の海のなかに見かけることがある
その多くはかれの生きざまに共鳴してやまない魂からのもの
5 射光
ところ変わり
ここは朝霧に包まれる一帯
昔見た夢のお告げにしたがって
潜る鳥居の向こう
私のためだけの待ち人は、居た
高い烏帽子と浅葱色の装束の似合うひと
遠くから笑みだけで挨拶をし
足早に境内を駆ける
やっと顔を見られたよろこびと
そこに見つけたひとつ
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