帰ろう。早く帰ろう。/beebee
 

次第に引いて行く人の波。
後に残るぼくは一人で立ち停まる。
そこに何も落ちてはいないし、
何も置き忘れられている訳でもない。

《 さあ何をしている。
  歩き出そう。     》

誰が待つ訳でもない
自分の部屋へと、
歩き出そう。
彼らは
帰る家を持っているのか、
立ち停まって見ていると、
ぼくは吸い込まれそうになる、
彼らの背に。
彼らと共に彼らの家へと
引き込まれて行く、
気がする。

《 ぼくはきっと一人なのかな? 》

帰ろう。
帰ろう。早く帰ろう。
誰が待つ訳でもない、
独りの部屋へ。
早く帰ろう。
   グループ"純情詩集"
   Point(7)