オニヤンマ(百蟲譜26)/
佐々宝砂
蜜柑色した西空を探るように
行ったりきたりするのは
連れ添いを求めているから。
でなければ飢えているから。
しかしその飛翔の優雅なこと!
ヘリコプターのホバリングも
グライダーの滑空も
比較にならない。
人間がつくったものは
どうしてあんなにも
みじめったらしいのか。
空の虎たるオニヤンマは
王者の風格で飛ぶ。
貪婪に。しかし悠々と。
(未完詩集『百蟲譜』より)
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