鳥の死骸/吉田ぐんじょう
道端に
鳥の死骸が落ちていた
それは
不時着した飛行船に似ていた
埋めてやろうかと思ったが
埋められるような場所などどこにもなくて
お祈りをしてもしょうがないが
思わず手を合わせてしまった
そうして
手を合わせながら
お願いごとなどしてしまった
世界平和やその他諸々
叶うわけのない事ばかり
近くで見ると
鳥の骨は
揺りかごのような形をしている
その晩
鳥に抱かれて泣く夢を見た
怒っているのかも知れなかった
朝起きたとき
泣き腫らした眼で
一応
すいませんでした
と謝っておいた
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