【祈り】/穢土
呼、申し訳ない。切実な問いがあります。
『 人間の願いと運命とは互いに見知らぬ人のように無関係なのでしょうか
それは多くの場合寧ろ暴君と犠牲者とのような残酷な関係なのでしょうか
かくありたしとの希望を、かく定められているとの運命が蹂躙してしまうのでしょうか 』
___是は今は亡き倉田百三さんの言葉でもあります。
もうすぐ夜が明けます。
私は、運命を我が願いに隷属させるため、日の出と共に貴女の下へ参る所存です。
既に橋頭堡は完成しました。この一片の手紙がそれです。
もう後戻りはできないのです。狂った果実は熟れるんです。
では、しばらく 御元気で
敬具
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