車椅子の彼/ごまたれ
に見せてくる
「倒れたら一人じゃ起き上がれないんだぜ
すげぇよな」
そして何かをごまかすように
自分がホストだったことを話し始める
まるで
遠い夢でも見ているかのように
動かせた足なんか気にせずに
ただ女を口説いていた遠い夢
ある日
彼が昼間に電話してきた
とても上機嫌で
歌を歌っていた
やがて泣き声へと変わる
「結婚して」
まるで消えそうな 独り言
何も言えないあたし
それ以上 何も言えない彼
やがて
鼻をすすって彼が言う
「俺、お前なんかいなくてもモテるからよ」
今度はあたしが泣いた
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