秘密/彰
届けられた手紙には
何と記されていたのだろう
やわらかく細い筆で
控えめに書かれた宛名が
真っ白い封筒に浮き立つ
切られた封の中から
かさかさと
枯れ葉を取り出すような
仕草で広げられ
左手の指先で
支えられた折り目は
少しだけ震えていた
五枚目をめくって
六枚目を探すふりをしてから
そっと目を伏せて
溜息を 一つ
漸く
持ち上がった肩を下ろして
こちらを見上げた頃には
注いだお茶は
すっかり冷めてしまった
合わせた瞳の奥が
微笑む前に
ちらりと揺らめいたから
その手紙の差出人と
書かれた言葉は
たずねないと決めた
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