私に名前を授けてください/クローバー
 
不意に降り出した雨の、流れていく先が
足の裏に
張り付いて
ぐしゃぐしゃいいながら
それでも、ついてきた靴でした
枝ばかりの桜の枝が、葉をつけることを忘れながら
どこか、遠くを見ていました
靴は、歩くたびに、探して
生まれたころは、ベルトコンベアの上で
型に入れられたゴムでした
そのころは、かわいらしかったので
桜も、見下ろすくらいは、していたのです。

自転車の車輪は、いつも、逃げ出したくて仕方ありませんでした
力を込めると、思った以上に進むのは
彼が、形の決まらぬゴムだったころを思い出していたからで
あのころに帰りたい、とは、言いませんでしたが
温かくじっと丸
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