彼/キメラ
った玩具だ
しかし彼には電池がない
どうしようもなくそのひかり
彼の心にひろがる
ひかり・・の点滅がほしい
えいえんにきえないひかり・・・
彼は自転車に乗り家路を辿った
ひかりの玩具は空き地の片隅の樹の下に隠し
何となく見つからないと彼は確信していた
それは紛れもない彼自身だったから
家に着き二階
陽の少ない部屋へと進む
そこには時折思い出したように
薄笑う彼の顔が在る
彼は両腕を天井の方に向け歌う
ピカピカ、ピカピカ、僕のお手手に赤い街・・
ピカピカ、ピカピカ、僕のお手手に青い森・・・
ひどくつかれていた
完全にひとつの運命のようなものが
灼光した炎のように彼の中にひろがる
彼はまだ気づいてはいなかった
あらゆる朽ち果てしモノの中
大気すらもいとおしく彼の表情をなぞったことさえも
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