トナカイの夢/砂木
とらしくも言いつつ
記念写真をとるつもりだった
サンタの入った後 玄関を開けると
幼稚園児だった甥が 直立不動で震えて立っていた
無言のままサンタになりきろうとした義父は
思いがけずに迫力があり
それでも後から甥は おばちゃんの家のおじいちゃんに似ていたって
ひそひそ言ったらしい まあ しょうがないよな
メリークリスマス!
ひととおりまわって家に帰ると
義母が 玄関で待ち構えていた
どうだった? わかる人いた?
人一倍 喜んでいた
夫婦サンタであった
そしてケーキを食べ 後片付けをして
駄菓子の残りを貰って
トナカイは眠った
数年 続けた義父は 今は 頼まれた親戚の子に
行くくらいだけど
誰に頼まれたのかときく人もいて
不信がる人もいる
でもね ほんとに
夢だったんだって
メリークリスマス!
私にトナカイの夢をありがとう
戻る 編 削 Point(22)