悲しみも苦しみも忘却の彼方/
望月 ゆき
悲しかったことも
苦しかったことも
忘却の彼方だ
今では もう
デパートの屋上から 夕陽を見ても
電車の窓から あの坂道を眺めても
涙も でない
大切なものに 出逢えたことに
感謝さえ
悲しいことや 苦しいことばかり
続くわけではない
それでも ときどき
なつかしさに 胸が痛んだら
帽子のつばを すこし下げて
あの丘で 泣こう
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