イニ/ねなぎ
けたポスターしか無く
それすら雨にぼやけて見えやしなかった
周りに誰も居らず
虫の集る街灯が
申し訳程度に黄色の光を
その半径に溢しており
圧倒的な闇が押し寄せて
閑けさを際立たせるように
些細な音がざわめいた
状態は拡散にしか向かわない
ふと見えていた
気が付けば歩き出していた
道端の草むらから向こうは
目を凝らしても何も見えず
申し訳程度の内部へ繋がる道へ
ススキやドクダミなどの
草の脇を抜けて
音も無い落ち葉を踏みつけて
土を飛ばしながら踏みつけ
木々の間を抜けて行くと
苔が滑り生々しく古木が横たわり
蔦が枝を垂らし
月の明かりすら
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