落合朱美さんの詩集『思惟』(詩遊会出版部)の感想 を書いてみたりします/光冨郁也
 
葉で結ぶ。一度、この詩を手にとって読んでもらうと、よりよく読み手のこころに届くと思う。

ほかの詩も読んでみると、やさしい言葉と鮮やかな色彩と艶、そして痛みを感じるも、あたたかいまなざしのようなものを感じるのは、語調のせいだろうか、作者のまなざしのせいであろうか。よい印象の詩集だと思う。

花について書かれた作品もいくつかあり、そのなかから「白百合」。

「凛とした立ち姿/涼やかに見つめる視線の先には/何がある」

 ではじまり、

「一輪の白百合に思う//この花は/地上のどんな女性よりも/オンナなのだわ」

で結ばれる、10行の短い詩は、しかし美しい女性の横顔をわたしに想像させてくれた。凛とした空気のなか、清らかな白い百合に、まるで香りまで漂ってきそうなそんな気さえした。

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