水やり/水中原動機
誰よりも高く飛ぼうと
助走つけすぎて
転んでしまった
誰よりも早く走ろうと
フライングして
スタートできなかった
ボクはいつも
不器用なのを隠そうと
嘘ばかりついて
いつのまにか
からっぽでした
誰よりも美しく歌おうと
歌いすぎて
声枯れてしまった
誰よりも美しく描こうと
絵の具使いすぎて
すべて濁ってしまった
ボクはいつも
自分を飾ろうと
いろんなもの身につけて
いつのまにか
すり切れてました
雨が降りました
濡れても嘘は流れませんでした
日が照りました
照らされても未来は輝きませんでした
雲が出ました
雪とともに悲しみ溶けませんでした
涙出ました
吹きこぼれました
あふれ出て止まりませんでした
何も変わりませんでした
それでもボクはボクでした
木々はいつかは芽吹くでしょう
花はいつか咲くのでしょう
だから水をやりました
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