飼育係、或いは荒廃/吉田ぐんじょう
 


魚は酸素を知らぬだろうか
暗い水辺に輪を描いて
あんなにも深く潜ってゆく


飼育係は放課後に
飼っていためだかを流してしまった
閉じ込められてるのが
可哀相だったって
めだかは排水溝から
かすかに笑い声を漏らしたって


からっぽになった水槽には
みどりがめが入れられた
みどりがめは不思議そうに
四角く区切られた天井を
何時までもぼんやり眺めていた


そのうち
足と首を引っ込めさせた
みどりがめで
蹴球のまね事をするのが流行った
みどりがめは黙ったまま
かちかちと教室を往復した


みどりがめは
埃まみれになって

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