乾いた部屋/yukimura
鮮やかな未来ではなく
燃えるように甘い その日の充実を
与えただけなのだろうか
僕はカップの蓋を開け 砂糖を一掴み
指先で擦るように冷たい毛布の上にこぼすと
どこからともなく
小さな蟻の群が食料を求め
植物がここに根を張り
春風たちが歌を歌いにやってきた
月は一夜の寝床を辿り
今日は僕に礼を言って昨日へと旅立つ
見てきた夢も あとたった一つ
何かが欠けていただけかもしれない
この部屋の全てを捨てて
もう一度だけ 外に出てみよう
新たな部屋の中では
鮮やかな時の清流を見つけられるように
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