凍て省/
土田
りしさきも車窓の刹那
詩の知恵も才も気力もなくとも毎年のあきたこまちの苗のひとつの重みは知り
ふるさとの訛りとともに捨てた女今日のはちょっと苦いねと女が二人今朝のモカ珈琲
倖を別ったことさえ知り得ずに酔いの公園にてホームレスに英世を握らせ
求めし雲雀料理銀髪に諭さされも朔太郎の凱歌礼の気持ちが楽譜を滲ます
己を探す旅と銘打って麦藁帽の網目の数だけ検索のクリック音で夏が暮れる
亡き父も燕は食わずと空見あげ祖父は食ったかとどこも似つかぬ我が身を起こす
戻る
編
削
Point
(4)