夢見る少女部屋/からふ
いつだって街灯は
見なければならないものしか
見せてくれないので
夜は直方体の中で俯せていて
換気扇は回さないでいる
ホラー映画を明るい部屋で見ていて
終わってから突然笑い出すのは
自分が幽霊と似ていたからじゃなく
すべては夢なのだと分かるから
アイロンのにおいは
現実のにおい
ボタンの二つとれた
ワイシャツのしわが薄くのばされていって
音を立てて畳まれる
ぱたぱた、ぱたぱた、
それは羽ばたく音ではなく
重力が蝕んでいく音
膨らませていた風船の重さで
身体は既に軋んでいる
くまのぬいぐるみは
誰にも襲いかかったりしないから
物事はいつもハッピーエンドだから、と
風船を全て割ってから
ゆっくりと眠る夢を見る
戻る 編 削 Point(4)