公園にて/yukimura
もアレキサンダーも気付くはずがないな
それが神の手によって破壊され
彼らの夢とともに塵と消える
すべり台の銀杏のシーツを街灯が照らしている
サラマンダーが火を吹いている
自転車は3六香
王様はエースの球に空振りする
裸のカップルがシーソーで上下動している
常温核融合
裸の童貞がブランコで前後している
ブランコの形状は自己崩壊を最小限にとどめるのだ
日勤教育で草むしりをする老人
一本釣りをする人魚
鮫に背を剥がれた兎
あの日の僕と同じ顔の僕
それぞれはそれぞれ以外とのコミュニケーションを持たない
臙脂虫が絶滅した首府では
18世紀以前の空の下で画家が絵を描いている
心の通わない大人たちは
紀元前の知性のままでいじめを語り合っている
近くの国道で彼らは車を走らせるけれど
末期のようなクラクションがここには聞こえてこない
世界は明確に内と外を断絶し
ここが細胞の一片であることを忘れさせる
夕暮れの絹糸を身にまとい、僕は思う
「あしたが なんのやくにもたたぬような」
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