彼は古びた人形のように熱を持たなくて。僕は。
手を握ったら握り返してくれると思ってた。氷のように冷たい手と。
彼の葬儀はすぐ執り行なわれた。僕は「葬儀?」ってごまかした。
「死って何?」母さんに聞いたら答えてくれなかった。母さんは驚いていた。
僕は「何」は聞かない。人生は知らなくてもいいことが多すぎるから。
母さんは僕を彼の葬儀へ連れて行き涙を流さない僕を不審気にみていた。
無慈悲を感じたんだ。きっと。
彼は僕に尽くしてくれていた。彼は僕に頼られていた。
彼は燃やされた。
灰になって空を舞った。