漂流/水在らあらあ
海の鼓動が俺の背中をたたく
目を閉じて
救命ボートの光を
俺は
見送る
君を
沈めたのか
?.
また雨が強くなり始めた
白樺の木の下にたって俺は
雨を飲もうとしている
俺はずっと漂流している
風は強くなる一方だ
碇は海のそこを引きずられてゆく
柵を越えて入った
真夜中の公園は
明かりも消えて
まるで無人島だ
ここにきちゃいけない
ここにいちゃいけない
でも今夜一晩は
ここで休んだっていい
さっきの小鳥が木の高いところにいる
気がする
名前をよぶ
君が舞い降りる
ここにきちゃいけない
ここにいちゃいけない
でも今夜一晩は
ここで休んだっていい
争わずに
一緒に沈んでいったっていい
手をつないで
離れないように
そんな風に
おれたちは出会う
きっと
冬の海よりも寒い
都会の真ん中で
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