点三つ/10minutes/六崎杏介
 
恒星新薬氏が街灯上で
私の心臓を高々と差し上げて、笑う
私は寝室の窓から歌いかける
 「今晩は、K氏さん?
   まだまだ夜は、長くある」
恒星新薬氏は笑う そして赤edな月を
少うし妬やむ素振りをしてみせる
私も少うし、萎縮した風に笑う
風が街路樹を揺らす
私は煙草に火を付けてみせる
 「あなたの腕も、
   灰になっていけば好いよ、K氏さん」

しかしてまだまだ長く在る夜は
漫然と横たわっていて
少しの眠りが命取り
 少しの睡りが命取り。 
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