鬼女紅葉とおまん/渦巻二三五
 
『我こそは一城の総大将紅葉御前なり。首とりて手柄ににせよ』と云うままに縦横無碍に薙立てれば、金剛走り寄り、逃すなと打ち合いしが、七十人力と聞いたる命知らずの女武者、手下と共に走り回るの間に、二之木戸に入らんとすれば、鬼武・熊武討って出て破られじと支ゆる折に、山谷忽ち鳴り出し…(以下略。またも大風、火の雨、大洪水が起こり退散。『鬼無里村史』より}

 この後、惟茂は北向観音に参り、「降魔の剣」を賜ります。それによって紅葉は討ち取られてしまうわけです。
 鬼武・熊武というのは紅葉の手下となった野武士というか山賊です。鬼武を頭とした熊武・鷲王・伊賀瀬、四人の山賊は紅葉の噂を聞きつけて紅葉を手下にし
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