鬼女紅葉とおまん/渦巻二三五
やら孤独の哀しみやらといったところから離れた、紅葉が紅葉自身でありつづけることの豪快さなのだろうなと思います。
紅葉は伝説にあるようなひどい悪人ではなかったのではないかと私は思いますが、かといって善人だったとも思いません。悪人に仕立てられた哀れな美女という語り方も充分可能な物語だとは思いますが、そうしてしまうと、紅葉の魅力がいささか減じられてしまうような気がします。
紅葉は鬼武たちやおまんなど多くの家来を従えましたが、人を引きつけるのは人徳だけではないのです。この人のそばにいたら面白いぞ、とでもいったような、そんな気持ちにさせられる人だったのではないかと思います。
二00三年三月
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