鬼女紅葉とおまん/渦巻二三五
 
いたと言います。初めこそは鬼武等と共に紅葉も出かけて行ったかもしれませんけれど、ますます大勢の家来を従えてからは、紅葉自身が盗みに出かけたということはないのではないでしょうか。鬼武達以外にも、噂を聞きつけて賊に仲間入りする者が多かったといいます。もう紅葉が出かけて行かなくても、指図を与えるだけで良かったでしょう。
 これは私の想像ですが、成田・金剛軍が攻め入ってきたときに、おまんが紅葉を名乗って戦ったことからも考えるに、紅葉を名乗って賊徒を指揮し実際に村里を荒らし回ったのは、おまんだったのではないでしょうか。


 謡曲の『紅葉狩』は鬼無里の紅葉伝説とはちょっと違った筋立てになっているよう
[次のページ]
戻る   Point(1)