それから/ミゼット
 
しいのだろう。
テントがなけりゃぜんぶ台無しだ。

男は頭を抱えて畳の上へ伏した。
三人の女はその様子をじい、と見ている。
腕の隙間からカヤコのしろい腕と脱がせた服が見えた。
あのシャツは、僕が買ってやったのだ、と男は視線を走らせる。
その先には。
ああ、そんなところに。

約束の時間が迫っている。
女たちは微笑むと隣の部屋へ静かに消えた。
男は身を起こすと、ネジを拾い上げ、カヤコの腹にテントを吊るした。
歯車の回る音と共に、女が目を覚ます。

「ねえ、わたし昨日夢を見たわ」
「百合の匂いがする夢よ」
「なあに、ここを開ければいいのね」

 ((知らない女の人がいる))

「鳩子、君は鳥籠にしよう」

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