続凶夢/三州生桑
お気に入りのサングラスが壊れてしまった
ブリッジがポッキリと折れてしまった
捨ててしまはうかとも思ったが、やはり修理に出すことにする
大晦日だった
歩くにつれ、わらわらと人が湧いてくる
ほとんどの男は紋付き袴か礼服、女は振り袖
ふと、人の流れが止まる
前方から怒号が聞こえる
喧嘩をしてゐるやうだ
人の隙間から、礼服を着た男が誰かを殴り倒すのが見える
「おい、ちょっと待って待って!」
私は駆け寄らうとするが、群衆は兵馬俑のやうに動かない
足蹴にされてゐるのは振り袖を着た女だった
元の色柄も分からないほど、泥だらけになってゐる
顔は涙でぐしゃぐしゃになってゐ
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