ある少女の独白/杉菜 晃
 
を抱えていなかったから
今の人は違うんだと納得したりして
そんなことを私は繰り返しているの
叔母さんの家に来なさいと言われているんだけど
ママが死んでしまってから
私はこの駅を離れられないの

いつか彼が現れたら
私はいつも持ち歩いているCDを突きつけて
言ってやるの
住所と名前をサインしなさい って
もし家がなくて
自分の車に寝泊りしながら
全国を巡っているんだったら
彼をアパートに泊めてあげるの
何日でも好きなだけいなさいって
この街に厭きて
ほかの街に行きたいって言ったら
私もついていくの
どんなところだって行くわ
世界の果てまでだって


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