ある少女の独白/杉菜 晃
 
入ったまま
青年の前の紙箱に入れたの
どうしてもそうしないではいられなかった
私はCDを青年からの愛のプレゼントと思って
バッグにしまうと
そこを後にして家に急いだの
帰って CDを見ると
歌のタイトルと青年のハンドルネームがあるだけで
住所と名前がどこにも書いてないのよ
その時よ
私が取り返しのつかないことになったと思ったのは
それですぐアパートを飛び出そうとしたの
でも夜の十時を過ぎていて 駅に行っても
青年が歌っているとは考えられなかった

私は青年に会いたくて
病院からの帰りには彼を探したけど
どこにもいなくて
私はママと青年と 
大切な人を二人とも失
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