光化学スモッグ/スクリーントーン/ピッピ
番号は忘れたけれど ほらあれだよ
と笑いあう スクリーントーンの話だ
屋上で私達は誰にも分からない記号で笑い合った 16歳だった
空には青空が広がっていたけれど
さっきの授業で この雲量ならくもりだということも知って
それについてでも笑いあった
もう空がモノトーンだとは思っていない 空は青 常識
だけど
隣にいる友達は私と同じく 漫画を描いている子
漫画ではね やっぱり空は灰色だった 人物の輪郭に合わせて
番号を忘れたスクリーントーンを削っているとあの時を思い出す
直線的に切り取られた空 今では私が切り取る側になったけれど
もう自分の血を見ることも少ない
見なくても自分が
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