光化学スモッグ/スクリーントーン/ピッピ
 
i. 光化学スモッグ

色盲ではない
真っ白な高層ビル 真黒な人たち 白黒の横断歩道
灰色の空…いくら時間が過ぎてもモノトーンのオブラート
真っ白な月だけが顔を出して 星はここから見えない
星という存在を知らない
空というものはそういうものだと思っていた 4歳だった
花を見てよろこぶのは 花に色があるからだ
直線的に切り取られた視界 派手な看板を指差す
あれがおかしい これがおかしい おかしいものはいつも色がついている
おかしくないものは 色がついていない…

自転車を漕げるようになった 7歳だった
いつまでも雲は空から剥がれなかったけれど
その間隙に溢れた空のつなぎ
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