「 月宴。 」/PULL.
 






夜ごと歩く月を追い、
旅に出る。
月は夜ごと、
誰かに囓られている。


夜ごと歩く月を追う旅は、
太陽の下を歩く。
容赦なく照りつける、
我が儘な太陽の下。
ただひたすら、
月を追い、
歩く。

太陽の下の旅は、
太陽が沈むまで続き、
太陽が沈むまでに、
夜営を張る。
紅の空。
夜が近い。
太陽が沈む。
暗闇が空を覆う。
ほどなく冷気が忍び、
地上を冷たく支配する。

夜ごとの夜が、
はじまる。

夜ごとの暖を取るときは、
星をかざす。
星はあたたかく灯り、
凍えることはない。
星に誘われ、
どこか
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