女が家を留守にするとき/渦巻二三五
 
笑って励ます。
 それぞれが自分でどうにかすべきことだと皆わかっているのだ。
 強いな、と思う。

 ほんとうに楽しかった。
 涙が出るほど楽しかった。

 うちに帰ると夫がベッドから
 「おかえり」
 といつものように声をかけてくれた。
 それから足に装具をつけ、杖をついてリビングに出てくる。ごとり、ごとり、と床を鳴らしながら。
 そして、にこりと笑った。
 私、幸せなのだと思った。
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